STORY
パリで夫と8歳になる息子と一緒に住むエリザは身体の機能回復をサポートする理学療法士をしている。
産みの親を知らずに育ったエリザは養父母の了解のもと、実母の調査を専門機関に依頼しているが、
匿名で出産した女性を守る法律に阻まれ、実母にたどりつくことができない。
6か月後、ついにエリザは自ら調査をするために、自分の出生地である港街ダンケルクに、
息子ノエと共に引っ越して来る。
一方、ノエが転校した学校で給食の世話や清掃の仕事に従事する中年女性アネットは、
母親と同じアパートの別の階で一人暮らしをしている。
ノエは初めての給食時間、容貌のせいでまたもある誤解を受けてしまった。
そんなノエがなぜか気になってしまうアネット。
ある日、背中を痛めたアネットが、学校から聞いてエリザの診療所にやって来る。
「長いまつ毛ときれいな目をしたかわいい息子さんね」とノエを褒めるアネット。
二人は治療を重ねるうちに、互いに親密感を増していく。
エリザはアネットに子供はいるかとたずねるが、即座に返ってきた答えはノーだった。
ある日、ひょんなことからアネットは、エリザに「ノエはあなたの実の子?」と尋ねてみる。
エリザは表情を硬くし、「養子は私の方よ」と切り返す。
次第にアネットの心は乱れ始め、エリザは自分が30年前に産み、放棄した子供ではないかと思いはじめる。
アネットは自分を探している女性の名前を知るために、匿名解除を決意する。
そして書き始めた申請書。
私は1981年11月17日にダンケルクの産院で女児を出産。エリザベットと命名…」。
その書面を見せられ、アネットが実母であると知ったエリザは、ショックを受け混乱し
「母じゃない」と否定してしまう。
気持ちの整理ができないエリザはノエをも巻き込んだパニック状態になる。
30年の歳月を経て、見えない糸に手繰り寄せられた母と娘を待っていたものは…