『冬の小鳥』から6年、
あの鮮烈なデビュー作を超えた、もう一つの人生。
母と娘の運命的な再会を描く、待望の長編第二作。
2010年、『冬の小鳥』で鮮烈な長編監督デビューを飾ったウニー・ルコント監督が、
6年の沈黙を破って放つ2作目が本作『めぐりあう日』。
孤児となった9歳の少女が、韓国からフランスへ養子として旅立つまでを、
繊細なタッチで描いた前作は、監督の実体験から生まれている。
本作でも再び自身の人生を重ねつつ、フランスを舞台に、新たな感動作を生み出した。
フランスの港街ダンケルク。
産みの親を知らずに育った理学療法士のエリザは、自らの出生を知るために、息子を連れてパリから引っ越して来る。
だが、実母が匿名を望んでいるために、なかなか手がかりが掴めない。
そんなある日、息子が通う学校で働く中年女性アネットが、患者としてエリザの療法室にやって来る。
2人は治療を繰り返すうちに、不思議な親密感を覚えるようになるが…。
パリで夫と8歳になる息子と一緒に住むエリザは 身体の機能回復をサポートする理学療法士をしている。産みの親を知らずに育ったエリザは養父母の了解のもと、実母の調査を専門機関に依頼しているが、匿名で出産した女性を守る法律に阻まれ、実母にたどりつくことができない。
6か月後、ついにエリザは自ら調査をするために自分の出生地である港街ダンケルクに、息子ノエと共に引っ越して来る。
監督、脚本
ウニー・ルコント Ounie LECOMTE
1966年11月17日、韓国ソウル生まれ。9歳の時にフランスパリ郊外サン=ジェルマン=アン=レー在住の、父親が牧師をしているプロテスタントの家庭に養女として引き取られた。その後、パリの服飾専門学校ステュディオ・ベルソーでドレスデザインを学び1989年に卒業。学生時代に、日刊紙リベラシオンの求人で、映画の撮影にアジア人女性を探している記事を見て応募、 映画の仕事を始める
実力派が勢ぞろいした
絶妙なキャスティング
エリザを演じるのは、躍進目覚ましい実力派女優セリーヌ・サレット。 出自の不確かさから複雑に揺れるエリザの心情を細やかに演じきった。アネット役には、アンヌ・ブノワ、夫役にルイ=ド・ドゥ・ランクザンなど実力派の俳優が揃い、『冬の小鳥』でキム・セロンを見出したルコント監督のキャスティングの妙とそれぞれの個性が生きたアンサンブル演技の素晴らしさも、本作の魅力のひとつだ。
透明感のある映像と情感あふれる音楽によって完成された、
監督渾身の作。
撮影を担当するのは、カンヌ映画祭グランプリ受賞作『神々と男たち』でセザール賞撮影賞に輝いた、フランス屈指の女性撮影監督カロリーヌ・シャンプティエ。北の港街ダンケルクの街並みや、ノエが砂遊びする海岸、橋や運河など、エリザやアネットの心象風景ともリンクする街の景観を、透明感のある卓越した映像で捉え、抒情に満ちた美しい余韻を残す。「馴染みのある歌をハミングするような音楽」というルコント監督の要望に応えたのは、 現在のパリのオリエンタル・エレクトリック・ジャズ・シーンを代表するトランペット奏者イブラヒム・マーロフ。ささやき声にも似たトランペットの旋律が、映画にナチュラルでメランコリックな情感を与え、さらなる感動を喚起する。