共同脚本
アニエス・ドゥ・サシー
Agnes de Sacy
FEMIS(フランス国立映像音響芸術学院)で脚本を学ぶ。その才能は早くから知られ、ジャン=クロード・ジャネルの「Superlove」(98)で共同脚本家として参加したのを皮切りに、エレーヌ・アンジェルの「Peau d'homme,coeur de bete」(99)の脚本で頭角を現す。2003年にはヴァレリア・ブルーニ=テデスキ監督・主演の『ラクダと針の穴』の脚本づくりに加わり、その後もブルーニ=テデスキの『女優』(07/TV)、「Un chateau en Italie」(13)の共同脚本を連続して手掛け、よき協力者として名を連ねる。2009年、フィリップ・ゴドー監督「Le dernier pour la route」で第35回セザール賞の脚色賞にノミネート。ゴドー監督作品へは『11.6~最強の現金強奪犯』(13/TV)にも参加しており、アクション系作品でも確かな技量を証明。そのほか、アンジェル監督『レッドナイト』(03/DVD)、ロシュディ・ゼムの初監督・主演作「Mauvaise foi」(06)に加え、近年はパスカル・ボニゼール監督の「Cherchez Hortense」(12)、「Tout de suite maintenant」(16)でも共同脚本家として活躍。
音楽
イブラヒム・マーロフ
Ibrahim Maalouf
1980年12月5日、レバノンの首都ベイルートに生まれ、パリで育ったトランペット奏者。父もまたトランペット奏者で、ピアニストの母ともども音楽一家に育つ。アラブ系の民族音楽に見られる微分音を表現するために父が開発した、四分音を出すことができる“微分音トランペット”を用いる世界で唯一のトランペット奏者でもある。パリの国立高等音楽院(コンセルヴァトワール)でモーリス・アンドレのもとでトランペットを学ぶ。国際コンクールで数々の賞を受賞するなか、ユニークな音楽スタイルが注目され、スティング、エルヴィス・コステロ、サリフ・ケイタ、ヴァネッサ・パラディなどと共演。楽曲提供に加えてオーケストラのプロデュースなど幅広い活躍を見せている。映画音楽では、ジャリル・レスペール監督『イヴ・サンローラン』(14)で、第40回セザール賞オリジナル音楽賞にノミネートされ注目された。その他に、キム・シャピロン監督『スマート・アス』(14/DVD)、セピデー・ファールシー監督「Red Rose」(14)などにもスコアを提供。
撮影監督
カロリーヌ・シャンプティエ
Caroline Champetier
1954年7月16日生まれ。パリの高等映画学院IDHEC(現: FEMIS)で学ぶ。名撮影監督として知られたウィリアム・リュプチャンスキーの撮影助手として、フランソワ・トリュフォー監督『隣の女』(81)、ジャック・リヴェット監督『北の橋』(81)、『地に堕ちた愛』(84)、ダニエル・ユイレ&ジャン=マリー・ストローブ監督『階級関係 カフカ「アメリカ」より』(84/F)、ジャック・ドワイヨン監督『イザベルの誘惑』(85)などに就いて修行を重ねる。シャンタル・アケルマン監督『一晩中』(82/F)より撮影監督に昇格し、ジャン・リュック=ゴダール、フィリップ・ガレル、アルノー・デプレシャン、レオス・カラックス、アンドレ・テシネら、錚々たる巨匠たちの作品のルックを決めてきた、フランス映画界における最重要女性撮影監督。師匠のリュプチャンスキー譲りの自然光を重視した正確無比なフレーミングに加えて、繊細にして大胆な映像が彼女の持ち味でもある。これまでに撮影を担当した作品は100本を超えるが、主な作品に、ゴダールの『映画というささやかな商売の栄華と衰退』(86)、『右側に気をつけろ』(87)、『ゴダールの訣別』(93)、ドワイヨンの『15才の少女』(88)、『ポネット』(96)、リヴェットの『彼女たちの舞台』(88)、ガレルの『ギターはもう聞こえない』(91 )、『夜風の匂い』(99)、デプレシャンの『魂を救え!』(92)、テシネの『溺れゆく女』(98)、グザヴィエ・ボーヴォワの『神々と男たち』(10)など。また、諏訪敦彦監督『H story』(01)、『不完全なふたり』(05)や、河瀬直美監督『七夜待』(08)の撮影のほか、東京を舞台にしたオムニバス作品『TOKYO!』(カラックスによる挿話「メルド」)(08)の撮影を担当するなど、日本映画界との繋がりも深く、2009年には第22回東京国際映画祭の審査員も務めた。2010年の第63回カンヌ国際映画祭グランプリ受賞作『神々と男たち』で、第16回リュミエール賞を受け、さらに第36回セザール賞の撮影賞を受賞。2012年、カラックス監督『ホーリー・モーターズ』は第21回Camerimage(映画撮影の国際映画祭)で銀の蛙賞を受賞。ほかにもレティシア・マッソン監督『アリスの出発(たびだち)』(95)、アンヌ・フォンテーヌ監督『ドライ・クリーニング』(97)、マルガレーテ・フォン・トロッタ監督『ハンナ・アーレント』(12)など女性監督とのコラボレーションも多い。また撮影監督に留まらず、2012年には初の長編作品『画家モリゾ、マネの描いた美女 名画に隠された秘密』(12) を自ら監督。撮影監督の仕事と並行してAFC(フランス撮影監督協会)の副会長の座にあり、FEMIS(フランス国立映像音響芸術学院)で後進の育成にも携わっている。なお、女優のアリス・ドゥ・ランクザンは、彼女と俳優のルイ=ド・ドゥ・ランクザンのあいだに生まれた娘。