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シチリアの大地に最後の輝きを放つ 貴族社会の壮麗なる落日
抬頭する新勢力と滅びゆく者の美学を豪華絢爛に描く一大叙事詩
 1860年5月、統一戦争に揺れるイタリア。祖国統一と腐敗した貴族支配からの解放を叫ぶガリバルディと彼の率いる赤シャツ隊がシチリア島にも上陸。歴史は大きく動き始めた。
 シチリアを数十代に渡って統治してきた山猫の紋章の名門サリーナ公爵家にもその波は押し寄せていた。貴族社会が終わりを告げる日が目前に迫りながらも公爵の優雅さは何ら変わることはなかった。一方、公爵が息子たちよりも目をかけている甥のタンクレディは革命軍に参加し、時代の変化に機敏に適応していた。
 治安は不安定を極めたが、サリーナは例年通り、一家を率いて避暑のためにドンナフガータ村の別荘へ出発。途中、戦闘で片目を負傷して休暇の出たタンクレディが合流した。その後、タンクレディは公爵家で催された晩餐会で新興ブルジョワジーの絶世の美女アンジェリカと出会い、恋に落ちるー。

 その頃、国民投票が行われ、シチリアも統一イタリア王国となる。けがの癒えたタンクレディは、正規の国軍将校としてサリーナのもとに帰ってくる。間もなくサリーナに、「アンジェリカと結婚したい」と手紙をよこす。身分違いの恋ながら、没落貴族と新興ブルジョワジーとの新時代の結び付きの必要性を認めたサリーナの計らいで婚約へとこぎつける。
そして、2人の婚約が発表され、ドン・ディエゴポンテレオーネ公爵の屋敷で開かれた大舞踏会でアンジェリカは社交界デビューを果たす。


 しかし、いつもと変わらぬ華やかな宴の一方で、サリーナはその盛況と、収拾なくはしゃぐ着飾った令嬢たちに突然疲労を感じ、人気のない書斎へと逃れる。瀕死の老人が描かれた「義人の死」に老いと孤独、近く訪れる死を思うー。
そこへ幸せにはちきれんばかりのタンクレディとアンジェリカがやって来て、サリーナはアンジェリカの誘いでワルツを踊る。この流麗なダンスこそが新しい時代の幕開けを告げるものであり、サリーナ公爵のひとつの役目が終わったときでもあった…。


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