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■原作者

E.M.フォースター
1879年、ロンドンに生まれたエドワード・モーガン・フォースターはケンブリッジのキンングス・カレッジに進み、1901年から約2年間イタリアに滞在。この時の体験と見聞をもとに書いたのが1908年に出版された長篇小説第3作にあたる《眺めのいい部屋》である。1910年には代表作といわれる《ハワーズ・エンド》を書き上げる。フォースターは何百という未蒐集のエッセイ、評論、自伝的スケッチを残しているが、長篇小説はわずかに6册。しかし、デヴィッド・リーン監督『インドへの道』、アイヴォリー監督『眺めのいい部屋』『モーリス』『ハワーズ・エンド』、チャールズ・スタリッジが《天使も踏むを恐れる処》を映画化した『天使も許さぬ恋ゆえに』などいずれもが映像化されているのは、その小説が時代を浮き彫りにする筆致に優れ、開かれた知性とユーモアと寛容さによって登場人物に普遍的でリアルな魅力を与えているからに相違ない。労働者、大学生、インドの学者から大芸術家まで多くの友人を持ち、性表現の自由を擁護したフォースターは、まさしく“眺めのいい”開かれた人物だったといえる。1970年に死去。同性愛を扱った《モーリス》は抑圧的なイギリスにあって長らく出版できなかったが、その死の翌年に発表された。