ハンナは、やさしい夫と娘と共にニューヨークで幸せな暮らしを送っていた。ある日、テレビから流れてきた"声"に耳を奪われる。そこに映っていたのは、30年前に生き別れ、亡くなったと知らされていたかつての恋人だった。 1944年、ハンナは若き政治犯トマシュと収容所で恋に落ちる。命懸けの脱走に成功し共に生き ることを誓ったふたりだったが、戦時中の混乱の中で生き別れとなってしまっていた。 前に進む為に封印した、美しくも哀しい愛の記憶。しかし運命は、偶然の"声"を用意して、一 旦切れた糸を繋ぎ直した。過酷な状況でひそかに聞いた声。自由になって一緒に笑い、愛を囁 いてくれた声。忘れることのない、愛したあの人の声…。ハンナは蘇る記憶に後押しされるよ うに、トマシュを再び探し始めるのだが…。
アウシュヴィッツ収容所から脱走し生き別れた恋人たちが39年後に再会したという驚くべき実 話を、感動の映画に作り上げたのは、監督アンナ・ジャスティスと脚本家パメラ・カッツの女 性二人。 1944年のポーランドと1976年のニューヨーク。蘇るハンナの記憶と、現在のハンナの姿を巧み に交錯させながら、女性ならではの視点で一人の女性の喪失と再生を力強く描きだしていく。 この切ない愛の物語は、戦争によって引き裂かれた恋人たちを描いた『ひまわり』、『シェル ブールの雨傘』などの名作に続く新たなる感動作である。同時に、戦争という特殊な状況下だけの物語ではなく、誰しもが胸に秘める忘れられない恋や、「あの時、もし…」という気持ちを 思い起こす、胸しめつけられる大人のラブストーリーだ。
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