作品情報

第67回ベルリン国際映画祭 主演女優賞（銀熊賞）受賞作。 2017年ベルリン国際映画祭で、女優の美しさが全編を支配する作品として話題をさらった『夜の浜辺でひとり』。ポール・ヴァーホーヴェン率いる審査員団から主演女優賞（銀熊賞）を贈られたキム・ミニは、ホン・サンス監督のミューズとして、世界にその存在を印象付けた。 キム・ミニが見せるのは、儚くも荒々しい美しさを持つ、かつて見たことの無いヒロイン像だ。「女優をこれほど魅力的に撮影する監督は他にはほとんどいない」と激賞されたが、まさに監督との特別な信頼関係から引き出されたと言えるだろう。 舞台は二つの海岸都市、ハンブルクと江陵（カンヌン）。不倫スキャンダルにより、キャリアを捨て異国に逃げてきたヨンヒ（キム・ミニ）は、訪ねてくると言ったまま姿を見せない恋人を待ちながら、自分の真意が分からずにいる。月日は流れ、韓国へ戻ったヨンヒは、旧友たちと再会したことで女優復帰を考え始める。そしてひとりカンヌンの浜辺を訪れ、意外な方法で自分の心に向き合うことになるのだが……。 未来が見えない中で、自分らしくありたいともがくヨンヒの微妙な心の揺れは、多くの現代女性と共鳴し、深い余韻を残す。ここに、ホン・サンスによる比類なき女性賛歌が誕生した。