トップページへ
ニュース
かいせつ
ものがたり
スタッフ&キャスト
予告編
 




 

『1票のラブレター』は、“民主主義=デモクラシーと選挙”という題材を、イスラムの伝統的な島を舞台に、二人の主人公(選挙管理委員の女の子と若い兵士)の思わず微笑まずにいられない淡い恋ごころを絡ませて描いた、可笑しくて、ふしぎで、心いやされる映画である。信じる人に1票を投じるという行為と、誰かを大切に想う気持ちとが重なり、まるで忘れていたものをふと思い出すように。

映画の撮影は、映画『キシュ島の物語』で日本に紹介されたペルシャ湾の美しい島・キシュ島で行われた。物語は“どこでもない場所”だが、キシュ島の風景は、映画にたとえようのない魅力を与えている。 映画の中では、朝から夕方までのたった一日の物語だが、撮影は2000年から2001年にかけての冬、約8週間にわたって行われた。天候や機材の故障に悩まされたり、何もないロケ地でスタッフが精神的にまいってしまったり、と数々の問題を乗り越えての撮影だった。

登場人物は、すべて非職業俳優達である。選挙管理委員の女の子を演じたのは、テヘランでジャーナリズムを専攻したばかりのナシム・アブディ。朴訥な兵士役は、キシュ島にたまたま仕事を探しに来ていた青年シラス・アビディが扮している。その他の多くはキシュ島の住人達だ。

映画の着想の源となったのは、『カンダハール』などで知られるイラン映画界きっての天才監督モフセン・マフマルバフの短編ドキュメンタリー「民主主義のテスト(Testing Democracy)」である。ババク・パヤミ監督はマフマルバフのすすめもあって、そこから自身のアイディアをふくらまし、色鮮やかなエピソードに富んだオリジナル脚本を完成させた。
 
撮影監督は、『白い風船』や『ぼくは歩いてゆく』のファルザッド・ジョダット。録音は、『運動靴と赤い金魚』のヤドラー・ナジャフィ。音響設計は、フェデリコ・フェリーニやベルナルド・ベルトリッチ作品でも知られる40年のキャリアを持つマイケル・ビリングスリー。製作は、『ノーマンズ・ランド』『ブラックボード〜背負う人』などの秀作を次々生み出しているベネトン・グループ傘下のファブリカ・シネマが手がけており、まさに新しい時代のイラン映画と呼べるだろう。