港町マルセイユの埠頭。青い作業着を着た男たちが並んでいる。主人公ミシェルが労働組合の委員長をしている会社も人員削減を余儀なくされ、労使間の協議で20名の退職者をくじで選ぶことになった。ミシェルが次々と名前を呼び上げていく中、彼の名前が呼ばれる。委員長の権限でリストラの対象から外せたにもかかわらず、彼は自分の名前もクジに入れていたのだ。 ミシェルは妻マリ=クレールに、自分がリストラにあったことを告げる。妻は戸惑いながらも、気骨あふれる夫を誇りに思っていた。
ふたりの結婚30周年を祝うパーティーが行われ、リストラされた社員も含めた多くの仲間が招待された。孫たちの合唱「キリマンジャロの雪」と共に夫婦の長年の夢だった、アフリカ・キリマンジャロへの旅が家族から贈られた。しかし、このサプライズプレゼントは思わぬ事態を呼んでしまう…。 ミシェルとマリ=クレールは、妹夫婦ドゥニーズとラウルらといつものようにカードゲームに興じていたある日の夜、突然マスクをした強盗二人に押し入られる。強盗は金品と共にキリマンジャロ行きのチケットを奪っていった。まじめに善良に生きてきたのに、なぜ自分たちがこのような目にあうのか、と悲しみに暮れるミシェルたち。ドゥニーズは事件をひきずり、日常生活を送れなくなってしまう。ラウルはそんな妻を見て、犯人への憎悪が膨らんでいくばかりだった。
数日後、犯人のひとりが、ミシェルと一緒にリストラされた青年であることが判明し、ミシェルとマリ=クレールは大きなショックを受ける。しかし、青年が幼い弟二人を養い、借金と生活苦に行き詰っての犯行であったことが明らかになり…。
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