Introduction

夕暮れの帰り道に見えるケシの花。 一人ぼっちで歩く水仙の花畑。二度とない同じ“毎日”

ステファニー、ロバート、ショーン、カトリーナの兄妹は、毎朝シリアルを食べ、学校へ通い、母カレンはみんなを学校へ送った後にスーパーで働き、夜はパブでも仕事をする。どこにでもある毎日。でも、違うのは父親がいないこと。父親は刑務所にいる。会えるのはほんのわずかな面会時間だけ。季節は巡り、子供は成長し、一緒にいない時間が非情に流れていく…。

5年の歳月をかけて撮った“毎日”。 名匠マイケル・ウィンターボトムが描く、ある家族の愛と尊い時間。

『いとしきエブリデイ』は、父親不在のある家族の日々を通して、誰もが当たり前にあると思っている"愛"と"時間"の尊さを、美しい映像と音楽で描き出した珠玉の感動作。少数のスタッフと5年の歳月をかけた、マイケル・ウィンターボトム監督渾身の作品だ。  登場する幼い兄妹は、ウィンターボトム監督によって見出された実の4兄妹。撮影がスタートした時点では8歳、6歳、4歳、3歳だった彼らの成長と共に、5年と言う歳月がスクリーンに焼き付けられていく。長い別離を家族はどうやって耐えるのか? 愛は、絆は持続できるのか?

父親が再び家にもどってくるまでの5年間の日々のディテールを積み上げていくことによって、奇跡的な瞬間が何度も立ち上がってくる。そして、最後には過ぎていく毎日が何よりも大切な"時間"の堆積であるということに改めて気づかされるのだ。また新たな"エブリデイ"はやってくる。そんなシンプルなことに感謝したくなり、心にポッと暖かな明かりが灯ったような感動に包まれるだろう。

限りなくポエティックで限りなくリアルな世界を彩る、 マイケル・ナイマンの音楽。

第53回ベルリン映画祭金熊賞を受賞した『イン・ディス・ワールド』など国際的にも高い評価を得ているウィンターボトム監督。おなじみのロンドンから、本作ではイギリス東部のノーフォークの小さな町に舞台を移し、監督ウィンターボトム×音楽マイケル・ナイマンのタッグが生んだ名作『ひかりのまち』(99)のシャーリー・ヘンダーソンとジョン・シムを両親役に起用。ここに再び『ひかりのまち』の最高のコラボレーションが集結し、新たなる名作を世に送り出す。湿った森、緑あふれる草原、赤く染まる空、乾いた牧草などイギリスの牧歌的な風景が、毎日の断片と一緒に映し出され、合わせて流れる叙情あふれるマイケル・ナイマンの旋律が、映画に一層の深みを与え、大切な毎日が浮かび上がってくる。静かに流れる日々の中、子供たちとプロの俳優たちによって醸し出される空気は、リアルでありながら映画の中でしか存在しない詩情あふれる魅力を放っている。

Copyright(c) 2013 Crest International Inc. All rights reserved.