それから

2018年6月9日(土) ヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開


カンヌが熱い視線を送った、今、世界一センセーショナルな監督と女優。

名匠ホン・サンス×キム・ミニ(『お嬢さん』)が紡ぐ、男と女の可笑しみ。

そこはかとなく漂うユーモアが理不尽な世の中を突き破る。





監督・脚本:ホン・サンス 出演:クォン・ヘヒョ、キム・ミニ、キム・セビョク、チョ・ユニ、キ・ジュボン、パク・イェジュ、カン・テウ



製作:チョノンサ・フィルム 撮影:キム・ヒョング 録音:ソ・ジフン 編集:ハム・ソンウォン 音響:キム・ミル 

2017年/韓国/91min/モノクロ/ビスタ/5.1ch 原題:그 후 英題:The Day After 日本語字幕:根本理恵 配給:クレストインターナショナル



Introduction

今、新たなステージに突入した映画監督と女優の
幸せなコラボレーションから生まれた、
人間ドラマの最高傑作

ロベルト・ロッセリーニとイングリッド・バーグマン、ジャン=リュック・ゴダールとアンナ・カリーナ、小津安二郎と原節子……語り継がれる映画監督と女優の名コンビは、数々の名作を世に残してきた。そして第70回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品された『それから』は、その系譜に連なる作品として熱い注目を浴び、惜しみない拍手が送られた。公式記者会見で主演女優キム・ミニに、「僕にたくさんのインスピレーションをくれる人」と愛情をこめた最高の賛辞を贈った名匠ホン・サンス監督。vvホン・サンスが描き続けてきた男と女の可笑しみは、本作では圧倒されるほどの美しいモノクロームの世界で更に冴え渡る。ヨーロッパが絶賛してきた恋愛映画の名手は、新たなミューズと共にまた一つ名作を世に送りだした。

何のために生きるのか?
そこはかとなく漂う醒めたユーモアが、ままならぬ人生を希望に変える。

妻に浮気を疑われているボンワン社長の出版社に勤めることになったアルムは、出勤初日に妻から不倫相手だと勘違いされ、大迷惑。さらに元社員の愛人もひょっこり戻り、思わぬ騒動に巻き込まれるが――。キム・ミニ演じるアルムは、理不尽なとばっちりを受けても、醒めた視点を持ち、動じない。家に帰りたくないある男の生活を観察したことから生まれた本作には、どこか生きづらい世の中にこそ必要とされる、そこはかとないユーモアが漂う。ホン・サンスは、最後に登場する夏目漱石の本「それから」を、映画の原題に与えた。騒動のそれからが語られるラストでは、ままならぬ人生にも清々しい一瞬があることを見せてくれる。

Story

アルム(キム・ミニ)は、著名な評論家でもあるボンワン(クォン・ヘヒョ)が社長をつとめる小さな出版社“図書出版 カン”に勤めることになった。

ボンワンは、毎朝4時半に起きて出勤し夜遅くまで帰らないことで、妻に浮気を疑われている。アルム初出勤の日、事務所に踏み込んできた女に、アルムはいきなり殴られた。浮気の証拠を見つけたボンワンの妻(チョ・ユニ)が、アルムを夫の愛人だと勘違いしたのだ。追い詰められたボンワンは、不倫の相手は外国に行ってしまい、居場所は知らないと答える。

夜、ボンワンはアルムをお詫び代わりに食事に連れて行く。アルムは仕事を辞めると告げるが引き止められる。ところがそこに、アルムの前任者でボンワンの浮気相手であるチャンスク(キム・セビョク)が前触れもなく姿を現す。そして、舌の根も乾かぬうちに、二人から出版社を辞めて欲しいと頼まれるアルム。あまりの理不尽さに憤るが、アルムは数冊の本をもらい出版社を後にする。

それから……。ボンワンの評論が有名な賞を受賞した。アルムがお祝いを伝えるために、“図書出版 カン”を訪れると――。

Cast

キム・ミニ(ソン・アルム)
Kim Minhee
1982年3月1日生まれ。モデルとして活躍したのち、ドラマ「学校2」(99)で女優としてのキャリアをスタート。2012年に出演した、宮部みゆきのミステリー小説「火車」を映画化した『火車 HELPLESS』(ピョン・ヨンジュ監督/TV)での演技が称賛され、パク・チャヌク監督の目に留まったことが『お嬢さん』(16)の出演につながったという。『お嬢さん』の演技で、青龍映画賞最優秀女優賞、ディレクターズ・カット・アワードの最優秀女優賞を受賞した。ホン・サンス監督とは『正しい日 間違えた日』(15)で初めてタッグを組み、釜山映画評論家協会賞最優秀女優賞を受賞。以降『夜の浜辺でひとり』(17)、『クレアのカメラ』(17)、『それから』(17)に出演し、今やホン・サンス映画には欠かせない新たなるミューズとなった。『夜の浜辺でひとり』では韓国人女優としては初の快挙となる第67回ベルリン国際映画祭主演女優賞(銀熊賞)に輝き、世界にその存在感を示した。最新作は、第68回ベルリン国際映画祭出品のホン・サンス監督作「Grass」(18)。
クォン・ヘヒョ(キム・ボンワン)
Kwon Haehyo
1965年11月6日生まれ。映画、ドラマ、舞台で活躍し続けている名バイプレイヤー。2002年、日本でも社会現象を巻き起こした「冬のソナタ」のキム次長役、「私の名前はキム・サムスン」の料理長役で韓流ファンに愛される人気者となった。映画では、オ・ギファン監督『ラスト・プレゼント』(01)、イ・ヨヌ監督『僕らの青春白書』(14)、オム・テファ監督作『隠された時間』(16)などに出演。また、各地の映画祭で評判を呼んだヨン・サンホ監督の長編アニメーション『我は神なり』(13)に声の出演もしている。ホン・サンス監督作品では、『3人のアンヌ』(12)、『あなた自身とあなたのこと』(F/16)、『夜の浜辺でひとり』(17)がある。『それから』の演技が絶賛され、2017年釜山映画評論家協会賞主演男優賞を受賞。本作で妻役を演じた舞台女優チョ・ユニとは、実生活でも夫婦である。
キム・セビョク(イ・チャンスク)
Kim Saebyuk
2011年、日本でも大ヒットしたカン・ヒョンチョル監督作『サニー 永遠の仲間たち』で俳優の活動をスタートする。同年、第68回ヴェネチア国際映画祭オリゾンティ部門に出品されたキム・ギョンムク監督作「啐啄同時」、同監督の『これが私たちの終わりだ』(F/13)などに主演し、韓国インディペンデント映画界には欠かせない存在となった。2014年に河瀬直美監督がプロデューサーを手掛けたチャン・ゴジェ監督の『ひと夏のファンタジア』で、百想芸術大賞映画部門新人女優賞にノミネート。他に、カン・ヒョンチョル監督『タチャ~神の手~』(14)等に出演。最新作は、ホン・サンス監督作「Grass」(18)。
『』…日本劇場公開映画   『』(F)…映画祭、特別上映  『』(DVD、VHS)…DVD、VHS発売  『』(TV)…テレビ放映  「」…日本未公開映画

Director

監督・脚本:ホン・サンス
Hong Sangsoo
1961年10月25日、ソウルに生まれる。映画制作を韓国中央大学で学んだ後、アメリカに留学し美術を学びながら短編の実験映画を制作。その後滞在したフランスでは、シネマテーク・フランセーズに通い映画鑑賞に没頭した。1996年の長編デビュー作『豚が井戸に落ちた日』が批評家や国際映画祭で絶賛されて以降、22年のキャリアにおいて現在までに22作品の監督作を発表している。男女の恋愛を会話形式で描く独創的なスタイルは、ヨーロッパの批評家や観客に、“韓国のウディ・アレン”、“韓国のゴダール”、“エリック・ロメールの弟子”などと称された。2004年に『女は男の未来だ』が初のカンヌ国際映画祭コンペティション部門出品となり、翌年『映画館の恋』も同コンペティション部門に出品され、ヨーロッパでの人気は不動のものとなる。2008年以降は、『アバンチュールはパリで』(08)から、『3人のアンヌ』(12)、『ヘウォンの恋愛日記』(13)まで7年連続で作品をカンヌ、ヴェネチア、ベルリンの3大映画祭に正式出品している。日本では2012年に「ホン・サンス/恋愛についての4つの考察」と題した特集上映が組まれ、そのトークイベントで意気投合した加瀬亮を主演に迎えた『自由が丘で』(14)が生まれた。2015年には、『正しい日 間違えた日』が第68回ロカルノ国際映画祭グランプリと主演男優賞をダブル受賞。主演女優キム・ミニとの不倫スキャンダルを報じられるが、再びキム・ミニとタッグを組んだ『夜の浜辺でひとり』(17)が、第67回ベルリン国際映画祭主演女優賞(銀熊賞)に輝き、以降はキム・ミニを主演に作品を発表し続けている。『それから』は、第70回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に、『クレアのカメラ』も同映画祭のアウト・オブ・コンペティションに正式出品された。最新作「Grass」(18)は第68回ベルリン国際映画祭フォーラム部門に正式出品されるなど、韓国映画界のみならず世界で最も確立された映画作家の一人である。